2012年11月14日水曜日

くまの子ウーフ ちょうちょだけになぜなくの



絵本のあらすじ
くまの子ウーフの家に風と一緒にちょうちょが舞い込んできました。ウーフはちょうちょを捕まえようと一生懸命追いかけます。窓の方に飛んで行った蝶を逃がさないように窓を閉めてしまいました。すると、蝶の羽が窓に挟まり死んでしまいました。ウーフは胸がつまり泣き出すと、お母さんはウーフにお墓を作ってあげたらと助言します。そしてウーフはつりがね草の咲いているそばに蝶を埋めました。そこへうさぎのミミがやってきてドロップのお供えをして一緒に拝みます。次にキツネのツネタがやって来て、泣いているウーフを見て不思議そうに尋ねるのでした。一緒にトンボ取りをして羽がもげて死んだ時も、てんとう虫をお尻で潰した時も、魚や肉をパクパク食べる時も泣かないのにどうして蝶だけがかわいそうなのか不思議がるのです。そしてウーフは…

絵本の感想
命の重さに違いはないのにと、ツネタの子供ながらの鋭い感性にはあっぱれです。ウーフの幼い心にはツネタの言葉は意地悪にしか届かないのかもしれません。しかし、やがてこのことを思い出しじっくりと考える時がやってくるでしょう。

2012年11月10日土曜日

手ぶくろを買いに



絵本のあらすじ
寒い冬がキツネの親子が住んでいる森へやってきました。はじめて冬を迎える子ぎつねは、雪ももちろんはじめてです。雪の上からお日様が反射して目には眩しいほどでした。柔らかい雪の上をかけ回って遊んだあとほら穴へ戻ったきつねは、ぼたん色になった手を母さんぎつねにあたためてもらうのでした。かわいいぼうやの手にしもやけができてはいけないと思い、町まで行って毛糸の手袋を買ってあげることにしました。しかし昔、母さんぎつねが友達と町へ行って怖い目にあったことがあり母さんは足がすくみ、ぼうや一人を町まで行かせることにしたのです。そして母さんはぼうやの片手だけを人間の手に変えてしまい約束事をするのです。そして一人で手袋を買いに行った子ぎつねは・・・

絵本の感想
なんの先入観もなくまっさらな気持ちではじめての体験をすることはワクワクするものです。かわいい子には旅をさせろといいますが、母さんがぼうやを見送ったあとどんなに心細く後悔もしたりしながら落ち着かないときを過ごしたことでしょう。そして、ぼうやが無事に帰ってきてホッとしたことでしょう。ぼうやの楽しかった経験が母さんに伝わるといいですね。

2012年11月7日水曜日

あきかぜのおくりもの



絵本のあらすじ
冷たい風が吹き始めた10月。動物たちは冬ごもりの用意をしています。食べ物を集めたり暖かい寝床を作ったりとみんな大忙しです。しかし、年をとった熊だけが一匹ぽつんとしています。あきかぜが熊にどうして冬ごもりの用意をしないのか尋ねてみます。すると、熊は毛が抜けてみっともなくて表に出られないと言うのです。その晩、女の子が熊にプレゼントを持ってきてくれました。それは秋の花から集めた良い香りがする蜜でした。これを舐めると春までにつやつやの毛皮になりますよと言い残し、その女の子はヒラリと飛んで行きました。そして熊は・・・

絵本の感想
実りの秋がやってきました。冬までのほんの短い過ごしやすい季節です。動物たちにとってはきっと忙しい季節なのでしょう。いわさきちひろさんのほんわかとやさしい絵と立原えりかさんのやさしい文章は、読み手をあたたかい世界にいざないます。困っているものにさりげなく寄り添い、豊かな気持ちにさせてくれる。熊さんが楽しい夢を見ながらゆっくり冬ごもりができますように。

2012年11月3日土曜日

ゆきひらの話



絵本のあらすじ
畑の中に古い小さな家がありました。そこにはおばあさんが風邪を引いて横になっていました。おばあさんが休んでいると台所で何か物音がします。おばあさんが誰ですか?と問いかけてみると「ぼく、ゆきひらです」と返事が。たった一人で心細かったおばあさんはお鍋が口を聞くなんて不思議でしたがうれしく思いました。昔、おばあさんのお母さんが、よくこのお鍋で大根やお芋をコトコトと煮てくれたことを思い出しました。風邪を引いて熱のあるおばあさんにゆきひらはりんごの甘煮を作ってご馳走してくれました。お腹が一杯になったおばあさんが眠りにつくと・・・

絵本の感想
今ではすっかり珍しくなったゆきひら鍋。こんもりとした形のお鍋で煮ると、どんなものでもふっくらおいしく仕上がりそうです。ゆきひらがおばあさんの記憶を呼び起こし、楽しかった懐かしい思いがおばあさんを満たします。病気で心細かったおばあさんにとってなによりのお薬になったことでしょうね。

2012年10月25日木曜日

天使のえんぴつ



絵本のあらすじ
クルッピーとウカレッピーはお菓子や炭酸ドリンクが大好きな女の子です。実は二人は翼を持つ天使なのです。絵を描くことが大好きな二人は、不思議なえんぴつを持っているのです。それを路上画家のバンキンにプレゼントしました。それは空中に絵が描けるのです。クルッピーとウカレッピーはバンキンのズボンつりをつかんで上空を飛んでいきます。橋の上へや高いビルの上やさまざまな場所に楽しげな絵を描きます。そして絵画コンクールが行われている公園まで来ると・・・

絵本の感想
空中に描けるえんぴつがあるとどんなに素敵でしょうね。楽しい絵が大空に舞い上がって人々を明るい気分にさせてくれることでしょう。うつむいてなんていられませんね。

2012年10月15日月曜日

まわるおすし



絵本のあらすじ
今日はおとうさんの給料日。家族揃って廻るお寿司屋さんにいざ出陣!席についてもすぐにお寿司は取らず一巡目は見送ることが鉄則だ。そして、お父さんのサインが出ると青いお皿のお寿司をみな思い思いに取る。次のサインは黒いお皿。次々に出るサインを見落とさず食べ進み、クライマックスに突入。最後のお皿を迷いながらも取ったあと、これも食べたかった一皿が目の前に流れてきて・・・

絵本の感想
お父さんのお給料日は特別な日。一昔前は現金支給で、今よりもっとおとうさんの威厳は保たれていたような気がする。この特別な日におとうさんを先頭に、お寿司屋さんへ向かう様子は戦闘モード。月に一度のことだからみんなの目は真剣そのもの。みな同じ色のお皿を食べ重ね満足な様子。きっと子供たちが大きくなっても楽しい記憶として残るんだろうな。

2012年10月6日土曜日

大きな木のような人



絵本のあらすじ
ここはフランスの植物園。植物の研究者と少女さえらとの出会いから始まります。彼女は植物園の中でいつも白いキャンパスを持ち歩き描いています。少女は、研究者の言葉少ない植物の説明に耳を傾け、親しくなりひまわりの種をプレゼントしてもらいます。芽が出るのが待ち遠しくて毎日毎日鉢の中を覗きこみます。そしてやがて双葉が・・・それからどんどん植物に興味を持つようになったのですが、やがて日本へ帰国するときが・・・

絵本の感想
挿絵が柔らかく美しく異国の風を感じます。世界中の木と人々の関係を研究してきた男性と少女の出会い。静かな時の流れの中で、少女が輝く目で植物を手に取りそして深く興味を持っていく様子が伝わります。何百年も生きている木にはそっと身を委ねてみたくなるでしょう。少女は心の中に一つの核となるものを手に入れたような気がします。